一、ねんぐ*1おさめやう*2の事、壱石ニ弐升のくち米*3たる也、百性めん/\*4にあげに*5はかり*6、ふたへたわら*7にして、五里のぶんは百性もちいたす*8べし、五里の外ハ百姓のひま*9に、はんまい*10遣候て、もちいたさせ可申候、此外むつかしき事あるましき事、
(書き下し文)
ひとつ、年貢納め様のこと、壱石に弐升の口米たるなり、百性面々にあげに計り、二重俵にして、五里の分は百性持ち出すべし、五里の外は百姓のひまに、飯米遣わし候て、持ち出させ申すべく候、このほか難しき事あるまじきこと、
(大意)
ひとつ、年貢納入にあっては、1石あたり2升の口米とする。百姓衆の面前で計り、二重俵に入れなさい。五里までは百姓が自前で運びなさい。五里以上の場合は、その百姓が運んだ時間に応じて飯米を与えて運ばせなさい。その他の苦情は認めない。
口米はもともと本年貢の減損分をあらかじめ補うために徴収したものだった。
年貢納入における不正や不公平感を払拭するために「百性面々にあげに」二重俵に納入せよという点は、村の団体性を示している。