日本中近世史史料講読で可をとろう

ただし、当ブログは高等教育課程における日本史史料講読の単位修得を保証するものではありません

日本中近世史料を中心に濫読・少読・粗読し、各史料にはできるだけ古文書学に倣い表題をつけ
史料講読で「可」を目指す初学者レベルの歴史学徒として史料を読んでいきます

2019-10-01から1ヶ月間の記事一覧

天正5年4月10日伊部郷百姓中宛羽柴秀吉判物

伊部*1方之内城山*2之事とらせ候、牛馬持*3にて別而耕作等可仕者也、 天正五 卯月十日 秀吉(花押) 伊部郷 百姓中 「一、136号、46頁」 (書き下し文) 伊部方のうち城山のこと取らせ候、牛馬持ちにて別して耕作などつかまつるべきものなり、 (大意) 近江…

「年号」と「元号」

今日では、年号と元号は同義語として特に意識されることなく使われる。法律では1979年に制定された「元号法」がある。しかし、実は「元号」という呼び方は明治以前には見られない。慶応4年が明治元年に改元されたさいも「年号が改まるそうだ」という記録はあ…

「フリーライド」を「薩摩守」、「バブル」を「泡沫」と日本語に言い換える

現在では考えられないが、かつて乗車駅から降車駅まで全額無賃で乗車することを「薩摩守」と呼び、乗車駅と降車駅付近の料金のみを支払う不正乗車を「キセル」といった。 前者は平忠度(たいらのただのり)が薩摩守に任官していたことに、後者は吸い口とタバ…

天正2年10月22日こほ[ ]宛羽柴秀吉書状

かへす/\それさま*1御ことわり*2にて候まゝ、まち*3の事ゆるし*4申候、 よく/\此ことわり*5御申きかせ候へく候、以上、 まちのねんく申つけ候ニつゐて、文くわしくはいけん申まいらせ候、 一、まち人の事、われ/\ふびんかり候て、よろつようしゃせしめ…

旧国郡と道府県 「麒麟がくる」のための地理的予備知識

2020年の大河ドラマで明智光秀が主人公と決まってから、光秀ゆかりの地がにわかに脚光を浴びるようになった。特に後半生丹波国が舞台となることから国郡と道府県*1の関係に注意が必要となる。丹波国は京都府と兵庫県に分割されているので、現行の行政区分で…

天正10年3月26日羽柴秀長宛羽柴秀吉判物「掟」

秀吉発給の文書がまた発見された。「豊臣秀吉文書集 一」は天正11年までを範囲とするが掲載されていない未発見の、しかも原本である。原本は写と異なり書き写す段階での誤写*1がない上、料紙は何が使われているかなども検討できる点で、史料としてもっとも精…

天正2年6月6日平方名主百性中宛羽柴秀吉判物

当郷家並*1ニ、明後日八日ニ、今はま*2ふしん*3ニ、すき*4・くわ*5并もつこう*6持候て、諸奉公人出家商人たりといふ共、一人も不残可罷出候、若於油断*7者、急与可申付者也、 藤吉郎 六月六日*8 秀吉(花押) 平方 名主百性中 (一、88号) (書き下し文) 当…