日本中近世史史料講読で可をとろう

ただし、当ブログは高等教育課程における日本史史料講読の単位修得を保証するものではありません

日本中近世史料を中心に濫読・少読・粗読し、各史料にはできるだけ古文書学に倣い表題をつけ
史料講読で「可」を目指す初学者レベルの歴史学徒として史料を読んでいきます

ネタバレ注意!! 永禄3年3月19日羽木忠高宛松丸治部少輔書状 アシガール第9話「阿湖」姫が登場する古文書

 

(本文見えず)        

        松丸治部少・・・

 永禄三年三月十九日

  御屋形様

    人々御中

 

 

女性の名前は仮名で書かれることが多く、戦後しばらくは変体仮名が使われていた。

 

 

f:id:x4090x:20180210183834j:plain 「葉留能」=「はるの」さん

 

f:id:x4090x:20180210183904j:plain 「登美」=「とみ」さん

f:id:x4090x:20180210184248j:plain ふ婦 「婦じゑ」=「ふじゑ」さん

 

阿湖姫を仮名で書くとこんな感じ

 

 

1.  あ阿

 

2.  あ安こ胡

 

 

 唯之助は

 

1.    ゆ遊ひ飛の能す春け个

 

 

2.    ゆ由ひ比の乃す須け希

 

 

 

 参照サイト

変体仮名を調べる 五十音順一覧2

 

文書の宛名=宛所(あてどころ)の脇に書かれている(脇付)「人々御中」に職人芸を感じた。これは「ひとびとおんなか」と読む。直接宛名にするのは失礼なのでこう書いた。

 

明治期以降には「人々」がとれ、音読の「おんちゅう」に変化し、現在でも

 

○○株式会社人事部 御中

 

 

などと書く。

 

現在の文書(ぶんしょ)も、古文書(こもんじょ)のスタイルを継承しているので、古文書学の知識があると少しは役に立つ。

 

ビジネスマナーの講師に「人々御中」と書いた紙を見せながら「なんて読むんですか?」と質問するのも一興と思う。

 

 

ちなみに、敏いとうとハッピー&ブルーの歌う「星降る街角」や南佳孝の「スローなブギにしてくれ」の歌い出しを「おんちゅう」と聞き間違える方がいるらしいので、ご注意を。