(折紙)
珎敷両種送
給祝着之至候
猶榊原式部太輔
可申候条令右(省カ)略候
恐々謹言
正月七日 家康(花押)
安芸中納言殿
(書き下し文)
珍しき両種送りたまい、祝着のいたりに候、なお榊原式部太輔申すべく候条、省略せしめ候、恐々謹言、
*珎:「珍」の異体字
*榊原式部太輔:榊原康政
(大意)
素晴らしいものを二種類お贈り下さり、喜びの極みに存じます。なお詳しくは榊原康政が申しますので、略式のお礼のみにて失礼します。謹んで申し上げました。
2018年4月13日追記
「両種」についてご教示いただきました。詳細はこちら
「二種」は「両種」ともいって酒の肴です。1~3と5種があって何種類送ったかで表記を変えます。「書状并菓子五種」(秀吉文書集3298)とも書いたので肴だけでなく広く嗜好品的食物を指したのかも知れません。
— 高村不期 (@buqimingri) 2018年4月13日
2018年4月16日追々記
読み誤りのご指摘がありましたので、訂正しました。
誤「右」
正「省」
https://twitter.com/kojima_sakura/status/985812192074252288
2018年4月17日追々々記
さらにご指摘いただきました
読み誤りというより、古文書の方の書き誤りではないかと思いますが、意味としては「省略」のつもりなのでしょうね。
— 中世の古文書 (@kojima_sakura) 2018年4月16日
参考までに史料編纂所の電子くずし字字典の「省」と「右」を掲げておきます
「省」
「右」