条々
一、唐入に付而、御在陣中、侍、中間、小者、あらし
子、人夫以下に至迄、かけ落仕輩於有之者、其
身の事者不及申、一類并相拘置在所、可被加御成
の一人可被成御赦免、
者、可為罪科事、
『大日本古文書』吉川家文書之一、125号文書、92~93頁
https://clioimg.hi.u-tokyo.ac.jp/viewer/view/idata/850/8500/05/0901/0091?m=all&s=0091
なお同内容のものが浅野家文書260号文書にも見える
https://clioimg.hi.u-tokyo.ac.jp/viewer/view/idata/850/8500/05/0201/0459?m=all&s=0459&n=20
(書き下し文)
条々
ひとつ、唐入について、御在陣中、侍、中間、小者、あらし子、人夫以下にいたるまで、欠落仕る輩これあるにおいては、その身のことは申すにおよばず、一類ならびに相拘え置く在所、御成敗を加えらるべし、ただし類親たるといえども、告げ知らすにおいては、そのもの一人御赦免ならるべし、
たとい使として罷り帰り候とも、その主人たしかなる墨み付きこれなきにおいては、罪科たるべきこと、
(大意)
条々
ひとつ、大陸出兵にあたって、在陣中、侍・中間・小者・荒し子・人夫以下にいたるまで、欠落する者がいたなら、その者は当然として、血縁者すべてと隠し置いた郷村を成敗する。ただし、密告した場合は親類であっても当人一人だけ赦免する。
たとえ、使者として帰村したとしても、その者の主人の保証がない場合は欠落と同様罪科とする。
唐入の準備のため人員を確保するよう各大名に命じた掟書と思われる。出兵には戦闘員として「侍」、非戦闘員として「中間」から「人夫以下」を必要とするが*4、彼らが郷村から欠落することを防止する必要がある。現実には逃散・欠落があとを絶たなかったのだろう。
先日発見された藤堂高虎宛小堀正一書状にも「民」として「百性・町人・奉公人」と見える。