日本中近世史史料講読で可をとろう

ただし、当ブログは高等教育課程における日本史史料講読の単位修得を保証するものではありません

日本中近世史料を中心に濫読・少読・粗読し、各史料にはできるだけ古文書学に倣い表題をつけ
史料講読で「可」を目指す初学者レベルの歴史学徒として史料を読んでいきます

未来年号

未来年号とはたとえば以下のようなケースをいう。

 

japanesehistorybasedonarchives.hatenablog.com

 

嘉永7年11月4日に「安政東海地震」、11月5日に「安政南海地震」が連続して起きたことなどから、11月27日に「安政」と改元された。これらを「安政地震」と呼ぶのは、明治以降改元した年は遡ることを慣習としたことによるのであって、当時安政地震と呼ばれたわけではない。呼称については以下のような見解もあるが、承服しがたい。

本邦における被害地震の日本暦の改元について

 

未来年号については、服部英雄氏の論文がある。

 

未来年号の世界から : 日付に矛盾のある文書よりみた荘園の様相

 

本論部分は大日本史料や大日本古文書、写真集などがないと理解できないが、「はじめに」と「むすび」だけ読んでも大いに啓発される。とくに「むすび」は文面を解釈することだけが、史料解釈ではないことを教えてくれる。

 

 

参考文献

文学の歴史叙述に於ける遡及年号について