毎月18日は防犯の日。画像は『雑事記』より「鼠小僧次郎吉申渡書并盗取候金子高」です。時代劇などでもお馴染みの鼠小僧に関する資料です。 pic.twitter.com/VsZLzNhJqE
— 国立公文書館 (@JPNatArchives) 2018年2月18日
(前略)
武家屋敷江這入候得共盗不得候処、被召捕、数ヶ所ニ而盗致し候儀者、押色博奕数度致候旨申立、右依科入墨之上中追放ニ相成候処、入墨を消紛悪事不相止、猶又武家方七拾壱ヶ所度数九拾度(中略)不残酒食遊喰又ハ博奕を渡世同様ニ致し、在方所々江持参、不残遣捨候始末不届至極ニ付、引回し之上於浅草獄門ニ申付候
辰八月十九日
鼠小僧申上候盗取候金子高
俗名
向 鼠次郎吉
(後略)
(書き下し文)
武家屋敷へ這い入りそうらえども盗えず候ところ、召し捕らえられ、数ヶ所にて盗みいたし候儀は、押色・博奕数度いたし候むね申し立て、右科(とが)により入墨の上、中追放にあいなり候ところ、入墨を消しまぎれ悪事あいやめず、なおまた武家方七十一ヶ所、度数九十度(中略)のこらず酒食・遊喰または博奕を渡世同様にいたし、在方所々へ持参し、のこらず遣い捨て候始末、不届至極につき、引回しのうえ浅草において獄門に申し付け候
辰八月十九日
鼠小僧申し上げ候盗み取り候金子高
*押色:「おしいろ」:楽器の箏の技法のひとつの意味だが不明。
*遊喰又ハ博奕を渡世同様ニ致し:百姓でもなく、町人でもない、身分は不明。ただ、在々所々とあるように在方=村方=郡方(こおりかた)に出入りしていたことから、百姓家の次三男以下に生まれたのかも知れない。
鼠小僧次郎吉は武家屋敷を対象に盗みをはたらいたが、「越後屋」とか「近江屋」などには行かなかったようだ。また、酒食・遊興・博奕に盗んだ金・銀・銭をほぼ使い果たしたとある。
一度捕縛され「入れ墨」と「中追放」の刑に処されたが、その後ふたたび71武家へ、のべ90回盗みをはたらいたようだ。
彼の最期は獄門、梟首であった。
講談の世界と現実はかくも異なることを認識させてくれる、いい史料だ。国立公文書館(北の丸公園前、竹橋駅)は以前成人でないと入れなかったが、今はネットでさまざまな史料に出会える、貴重な存在だ。
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