ドラマ「アシガール」の手配書を読んでみる。画像はこちらから。
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手配書
梅谷村足軽唯之助
(似顔)
右者高山方と内通之疑有之候故、取締
方目下探索ニ及候也、見附候者ハ即刻
届可申事、應分之褒美被取候者也、
八月三十日
奉行
(書き下し文)
右の者(または「右は」)、高山方と内通の疑いこれあり候ゆえ、取締方目下探索に及び候なり、見附け候者は(または「見附そうらわば」)即刻届け申すべきこと、応分の褒美取らせ候ものなり、
実際に読み上げたセリフは「梅谷村の足軽唯之助なるもの、高山に内通の疑いこれあり、取締方が探索中、見つけたものは即刻届け出るべし。褒美を遣わすものなり」で、文面と異なるところはご愛敬だ。
第3回「若君といざ出陣」の陣触を読み聞かせる場面でも、名前を言いよどんだり、名前を読み上げたあと一気に文末の「以上」まで飛んだ。
本格的な古文書を作成すれば、それだけ役者の方に負担をかけることになる。
難しいところだ。
戦国期郷村から徴発される百姓は武装自弁である。天正15年7月晦日「三増郷小代官百姓中宛後北条氏朱印状」にはつぎのようにある。
一、腰さし類者ひら/\、武者めくやうニ可致支度事、
一、よき者を撰残し夫同前之者申付候ハゝ、当郷小代官何時も呼出次第可切頚事、
(書き下し文)
ひとつ、腰差しのたぐいは、ひらひら武者めくように支度致すべきこと、
ひとつ、よき者を撰び残し、夫同然の者申し付けそうらわば、当郷小代官、何時なるとも呼び出し次第、頚を切るべきこと、
(大意)
ひとつ、腰に差した武具のたぐいは、ひらひらと武者のような出で立ちでまかり出ること。
ひとつ、丈夫な者を選んで郷村に残し、人夫または腕の劣った程度の者をよこした場合は、当郷の小代官をいつなるとも呼び出し、その場で首を切ること。
村に壮健な者を残し、体力温存するような郷村は小代官を監督不行き届きとして斬首するという、きびしい命令である。
なお、戦国期にタイムトリップするのに準備すべきは文字の習得であろう。
そのツケは最終回に回ってくる。
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