どうも地方(じかた)文書に対する認識の甘い某国営放送だが、近世古文書学の教科書である『概説古文書学近世編』(吉川弘文館、1989年)から年貢割付状と皆済目録の部分を引用しておく。
割付状
上は文禄4年9月1日付の年貢割付状であるが、11月中にすべて納めよ。そうでなければ郎党を村に送り込み、牢にぶち込んでやると述べている。このようにあらかじめ日限までに完納せよと命じるのが年貢割付状である。ちなみに「渋沢敬三」とは渋沢栄一の孫にあたる民俗学者である。
皆済状
こちらは「物成」(年貢)その他「浮役」、「小物成」などをすべて納めた証拠となる重要な公的文書である。これらを私的な書状と呼ぶのは公私混同も甚だしいと言うべきであろう。
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この番組の言う「年貢取立ての記録」が割付状でも皆済目録でもないことはこれで明らかである。