日本中近世史史料講読で可をとろう

ただし、当ブログは高等教育課程における日本史史料講読の単位修得を保証するものではありません

日本中近世史料を中心に濫読・少読・粗読し、各史料にはできるだけ古文書学に倣い表題をつけ
史料講読で「可」を目指す初学者レベルの歴史学徒として史料を読んでいきます

2017年12月5日放送「開運!なんでも鑑定団 800年続く旧家に眠っていた古文書に衝撃値!」での気になる一言

時々とんでもないものが鑑定に出されることがあるので、早送りで古文書が映るところだけを見ることがある。くだんの「伊勢物語」の依頼者が重要なことを吐露していたのだが、誰もその歴史的重要性に気づかなかったようだ。もちろん思文閣の代表取締役は聞き逃さなかったはずだが。

 

その一言とはこの伊勢物語が古いことの証拠として「江戸時代の目録にも載っていた」という証言である。

 

 

東寺百合文書の中にも、文書目録がいくつか含まれていて、実際それで何度か定期的に点検したようで、保管されているものには合点が、失われたものについてはその旨朱筆などで何度も書き加えられている。

 

また近世地方(じかた)文書にも、同じような合点や後筆が入った文書目録がしばしば含まれている。依頼者の見た「江戸時代の目録」とはおそらくこれらと同じようなものだろうと思う。

 

伊勢物語も原本に近いものからの写本で貴重なものと思うが、個人的には目録の方が気になった。

 

同じ日の前半で「和宮様御伝来」とある品々について、鑑定の根拠となった文書がモノクロ写真で紹介されたが、あれも目録の一種であろう。

 

伊勢物語の写本は厳密に言えば古文書、古記録でないので番組タイトルはかなり盛っている。それに釣られて見てしまった自分はいい鴨だったのだろう。