シノビ(忍び)戦争の際に、状況をさぐるために、夜、または、こっそりと隠れて城内へよじ上ったり陣営内に入ったりする間諜。「忍びをする」上述のように探索をするために入り込む。「忍びが入った」間諜が入り込んだ。(日葡辞書)
— 室町言葉bot (@muromachi_bot) 2018年5月2日
これに触発(?)されて日葡辞書を開いてみたら、面白いものが見つかったのでここに記しておきたい。
シノビヅマ(忍び妻)
人がこっそりと、秘密にもっている妻、すなわち、情婦(772頁)
「秘密にもっている妻」を「すなわち、情婦」とするのはカトリック的な価値観がそういわせたものだろう。ただ「忍び妻」の存在が容認される社会だった可能性はある。
シノゥコゥシャゥ(士農工商)
サブライ、ノウニン、ダイク、アキビト
貴人、農民、大工および商人(772頁)
中世末期「士農工商」という呼称はあったようだ。ただ、こういった呼び方があるからといって、ただちに身分呼称であるといえないし、まして身分制度があったとはいえない。単に職能的な呼称とも考えられる。制度と実態は常に異なるからだ。ただ後世、この言葉がある制度を呼び習わすようになったことは十分考えられる。
シミン(四民)
ヨッツノタミ(四つの民)すなわち「シ」「ノ」「コ」「ショ」(士農工商)
サブライ、ノウニン、タクミ、アキウド(士、農人、工、商人)
身分のある武人と兵士、農民、職人、商人 (767頁)
「士農工商」とくらべると「大工」が「工」=タクミと呼ばれるほかは大差ない。
気になるのは「身分のある武人」と「兵士」が分けられている点だ。「兵士」はあまり身分が高いとは言えない存在だったようだが、それ以上はわからない。