古文書は形態により、折紙、竪紙、続紙などの一紙もの(「状」と呼ぶ)と竪冊(竪帳とも)、横冊(横帳とも)、横半帳などの冊子体(「冊」、「帳」などと呼ぶ)に大きく分けられる。後者の冊子体はあらかじめ冊子にしたあとで書き込むもので、当然記載に過不足が生じる。検地帳などは「丁」と「丁」のあいだに割印し、改竄を防ぐ工夫も見られる。
割印の例
参照ブログ 古文書の用紙
また、目録作成時、以下のような項目を記入する。「形態」に注目されたい。
一方、もともと別々に作成された一紙ものや冊子体を、あとでなんらかの目的のために一つの紐で綴じた文書もある。その場合あとから表題をつける場合もある。これを「綴」と呼ぶ。
今日、われわれが取捨選択してファイリングする作業と同じである。したがって、それぞれ別々の目的で作成された文書を、さらにのちの都合、目的によって取捨選択した上で二次的に作成された文書である。
この文書もその「綴」にあたる。
https://photo.kahoku.co.jp/graph/2018/11/18/01_20181118_63035/003.html
1枚目を見ると②にあるように「覚」という表題がつけられており「一つ書き」には金額、支出先と費目が書かれているのに対して、2枚目には人数が書かれており、文書の性格が異なることがわかる。この「覚」という表題は汎用性が高いため多用されるが、そのためかえって表題だけでは内容はうかがえない。
この「覚」などを綴じたあとで①「戦死屍仕末金諸入用帳」としたようで、「諸入用帳」の「諸」の文字が「覚」の上に書かれているように見える*1。
こうした「綴」はまず「一点」と数えるべきか、という問題をはらむ。同時に作成年代も「一点」なら特定年月日、もしくは「何年何月何日より何年何月何日まで」とすることも可能だが、後者の場合は連続性が前提になっており、まったく別々に作成されたものの上限と下限をそのまま「何年何月何日より何年何月何日まで」とするわけにはいかない。
*1:解像度が低いため断定できないが