大坂の陣直前頃の作成といわれる「江戸始図」を眺めているとおもしろい発見がある。
まず目につくのは本丸から南の方角に「羽柴」を名乗る大名の屋敷が軒を連ねていることだ。諱は黒田基樹『羽柴を名乗った人々』(2016年)の巻末一覧表から該当するものをあてた。
次に目立つのが町人地である。縮尺通りに描かれているわけではないので注意が必要だが、川岸に集中していることは確かだろう。後年、堀の外へ追い出されるのだろうか、興味は尽きない。割愛した部分には「アキ」「ヤブ」などの表記も見られ、都市の成長過程も読み取れそうだ。