日本中近世史史料講読で可をとろう

ただし、当ブログは高等教育課程における日本史史料講読の単位修得を保証するものではありません

日本中近世史料を中心に濫読・少読・粗読し、各史料にはできるだけ古文書学に倣い表題をつけ
史料講読で「可」を目指す初学者レベルの歴史学徒として史料を読んでいきます

天正16年7月4日上林久茂・森彦右衛門宛豊臣秀吉金子請取状

 

                       豊太閤真蹟集. 下 84コマ目

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上記文書のうち、充所のみ秀吉自筆である。

 

 

 

請取金子之事

   合弐拾九枚*1参両*2者 但壱枚ニ付て、四十壱石かへ也、

右八木*3合千弐百石也、

   天正十六年七月四日(朱印)

          かんはやしかもん*4

          もりひこゑもん*5

 

(三、2540号)

 

(書き下し文)

 

請取金子のこと

   合わせて29枚3両は、ただし1枚について、41石替えなり、

右の八木合わせて1200石なり、

 

(大意)

 

金子請取証書

 

 金1枚につき41石として金29枚3両分を、米1200石でたしかに受け取るものである。

 

 

本文書だけでは何に対する運上金なのか明らかでないが、翌天正17年11月20日上林久茂宛目録状によれば*6、山城国宇治郷に田畠3,072石、茶園1,985石とあることから茶園に対する年貢米の請取と思われる。ただ「茶園定米1,550石」と記されているのに、わざわざ金に換算している理由は不明である。

*1:金大判の単位、1両=43匁

*2:「コロ」、金銀の重さの単位。1両=4~5匁

*3:「米」とも読めるが意味は同じ

*4:上林掃部助久茂。浅井長政・織田信長・秀吉に仕え、徳川家康のもとで宇治代官を務めた宇治茶師

*5:森彦右衛門。宇治茶師

*6:四、2743号