日本中近世史史料講読で可をとろう

ただし、当ブログは高等教育課程における日本史史料講読の単位修得を保証するものではありません

日本中近世史料を中心に濫読・少読・粗読し、各史料にはできるだけ古文書学に倣い表題をつけ
史料講読で「可」を目指す初学者レベルの歴史学徒として史料を読んでいきます

府県別諸侯分布

前回明治9年現在の府県別諸侯一覧を掲載した。ただ、小大名は紙幅の都合から割愛したため大まかな傾向を示すにとどまらざるを得なかった。今回はこれをすべて府県別に分類し、さらには大名数の多い順に府県をソーティングしてみた。

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すると、いわゆる「幕末維新期」に「大活躍する」雄藩の大名数はわずか3パーセントに過ぎず、大中合わせても18パーセントにも満たないことがわかった。

 

 

つまり戊辰戦争で「活躍する諸大名」はわずかばかりの数に過ぎず、圧倒的少数者である大名のうちのさらなる少数者、文字通りオリガルヒ(Олигархи)の物語に過ぎないことがこの点でも明らかである。その他大勢は「あってもなくてもどうでもいい目蒲線」*1であるかのような扱いである。

 

むろん圧倒的少数者が富や武力などを独占することはいつの時代にも見られる普遍的な姿である。その独占する手段の違いにこそ歴史性を求められるといってもよいであろう。

 

 

*1:「目蒲線物語」1983年 

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