一、来秋より、只今遣す我等判*1の升にて取やり*2仕、ふる升もちゆへからす、先年けんち衆いだされ候升ニふときほそき*3ある間、とりあつめ、そのなかにて中をとり、ため*4あわせ*5つかハし*6候事、
(書き下し文)
ひとつ、来秋より、ただいま遣わす、われら判の升にて取り遣りつかまつり、古升用ゆべからず、先年検地衆出だされ候升に、太き細きあるあいだ、取り集め、その中にて中を取り、矯め合わせ遣わし候こと、
(大意)
ひとつ、来年の秋から、このたび渡す三成の花押がある升で計量し、旧来の升で取引することはならない。以前検地役人が渡した升に、大小のばらつきがあったので、それらを集め、中間の大きさの升を採用し、正確を期した上で升を渡させることとする。
長浜城歴史博物館『石田三成』(1999年)84頁によれば、近世湖北地方では京枡より80~85%小さい升が年貢上納用以外に使用されており、「八合升」「浅井升」と呼ばれていたという。八合升は伝わっているものの、石田三成の花押が据えてある升は見つかっていないようだ。