日本中近世史史料講読で可をとろう

ただし、当ブログは高等教育課程における日本史史料講読の単位修得を保証するものではありません

日本中近世史料を中心に濫読・少読・粗読し、各史料にはできるだけ古文書学に倣い表題をつけ
史料講読で「可」を目指す初学者レベルの歴史学徒として史料を読んでいきます

辻善之助、一生の不覚!発見!!

名著『田沼時代』で知られる辻善之助だが、これは一体なんだ!!

 

f:id:x4090x:20180429005240j:plain

 辻善之助「国史教科書参照図」より

国立国会図書館デジタルコレクション - 国史教科書参照図

 

「オ|ストラリヤ」ってなんだ、これ!!

 

海外に行くと次のような看板を見かけることがある。

 

 なんとも皮肉なことだ。

 

辻善之助は、田沼意次の政策をこう評している。

 

田沼時代は一面においては混沌濁乱の時代であるがまた他の一面においては新気運の勃興せんとする時代で、新文明の光の閃きを認める時代である。もっともその新気運というのは幕府それ自身に取っては下り坂に赴くことを意味するのであって、徳川氏のためには不祥なる次第であるけれども、日本全体の文化から見ればまさに一転変を来そうとする時代であるので、慶すべき現象と言わん(ママ)ければならぬと思う。いわばこの時代は新日本の幕開きである。

岩波文庫版328頁、初版は1915年

 

田沼時代に日本近代の萌芽を見出したのが辻である。それも今から1世紀も前のことだ。「最近の研究では」という謳い文句がよく踊るが、20年から30年、場合によっては半世紀前の場合も珍しくないので気をつけたい。