今度於信州川中嶋
合戦之刻抜群之働
依之永三百貫文之所
全可宛行者也
武田大膳大夫晴信入道
(朱印)
信玄(花押)
(異筆か)
「馬場美濃守」
信房(花押)
永禄四辛酉年
十二月十四日
野溝久太郎江
(書き下し文)
このたび信州川中嶋において合戦のきざみ、抜群の働き、これにより永三百貫文の所まったく宛行うべきものなり、
*永三百貫文:「永」楽銭で300貫文分の土地
念のためだが、骨董的価値と学術上の価値は一致するとは限らない。どちらがすぐれているとか、そういうこともない。学術的にはどちらの史料が信用できるかどうかの判断はするが、史料そのものの価値判断には踏み込まない。
たとえば誰も見たことがないゆえに、ある時代により高い信用を得る偽文書も存在する。文書の真偽を判断することは重要であるが、歴史学ではさらになぜそれが有効性を持ち得たか、あるいはなぜそれが大切に継承されてきたか、そのような現象を考察することもある。
参考文献