日本中近世史史料講読で可をとろう

ただし、当ブログは高等教育課程における日本史史料講読の単位修得を保証するものではありません

日本中近世史料を中心に濫読・少読・粗読し、各史料にはできるだけ古文書学に倣い表題をつけ
史料講読で「可」を目指す初学者レベルの歴史学徒として史料を読んでいきます

2018年4月15日再放送「開運!なんでもお宝鑑定団」で紹介された武田信玄朱印状/判物を読む

 

 

 

www.tv-tokyo.co.jp

 

f:id:x4090x:20180416141812p:plain

 

 

今度於信州川中嶋
合戦之刻抜群之働
依之永三百貫文之所
全可宛行者也
 武田大膳大夫晴信入道
     (朱印)
     信玄(花押)
  (異筆か)
    「馬場美濃守」
       信房(花押)
 永禄四辛酉年
  十二月十四日
   野溝久太郎江

 

(書き下し文)

このたび信州川中嶋において合戦のきざみ、抜群の働き、これにより永三百貫文の所まったく宛行うべきものなり、

 

*永三百貫文:「永」楽銭で300貫文分の土地

 

念のためだが、骨董的価値と学術上の価値は一致するとは限らない。どちらがすぐれているとか、そういうこともない。学術的にはどちらの史料が信用できるかどうかの判断はするが、史料そのものの価値判断には踏み込まない。

 

たとえば誰も見たことがないゆえに、ある時代により高い信用を得る偽文書も存在する。文書の真偽を判断することは重要であるが、歴史学ではさらになぜそれが有効性を持ち得たか、あるいはなぜそれが大切に継承されてきたか、そのような現象を考察することもある。

 

参考文献

www.kashiwashobo.co.jp