以下の記事に掲載された文書を読んでみる。
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写真は後者を使用した。なお、右端に綴じ紐が見える。もともと別々に作成された文書を、のちに何らかの利用目的で綴じられた文書を「綴」(つづり)と呼び、あらかじめ冊子体として作成された「冊」「帳」などと区別する。「綴る」という行為は現在のファイリング、あるいはPC上でのフォルダへの分類と同じである。ただし「分類」は同時に元の状態を乱すことと同義なので、のちのちの検索に必ずしも役に立つわけではない。
この2つの記事はひとつの「綴」の、別々の書状を見て書かれている。差出人が「佐藤兵部」、「岡部十左衛門」と異なっているからだ。
一、大坂七日八日之首尾
有まし伝言候、物語申候
にて互ニ失念も有之歟、
無覚塚之由、被預御状候、
少も無失念、其時分迄
御家中縁勘定、其外ニも
古奉輩衆御咄置申ニ付
何共失念有之間敷候、
(書き下し文)
ひとつ、大坂七日八日の首尾あらまし伝えもうし候、物語り申し候にてたがいに失念もこれあるか、おぼつかなきのよし、御状預けられ候、少しも失念なく、その時分まで御家中勘定により、そのほかにもいにしえの奉輩衆お咄し置き申すにつき、なんとも失念これあるまじく候、
*無覚塚:無覚束「おぼつかなし」
*御家中勘定:論功行賞のことか
*奉輩衆:「朋輩衆」「傍輩衆」、仲間たち