あるテレビ番組を見ていたところ、信じられない解釈が披露された。
曰わく
当時、人の名前を書くのを憚って伏せ字にする習慣があった
伏せ字にする習慣などない。名前ではなく、官途名、受領名、屋敷の所在地、単に「御屋形様/御館様」などと書いていたことは確かである。
また宛所以外でも御成敗式目「右大将家の御時定め置かるゝ所は」のような事例はいくらでもある。
伏せ字はかなり例外的な書き方で、とても習慣とは呼べない。少なくともポピュラーな表現法でないとは言える。
また文書の様式でも発給者と受給者のあいだに奉者など入れることで、権威づけした「奉書」(書き止め文言が「仍執達如件」など)などのような様式も発達した。