就湯治為音信、紙子二并菓子一折到来、祝著候、近日可帰城之間、旁期面之節候、恐々謹言、
(天正十三年)
九月十八日 秀吉(朱印)
本願寺殿(書き下し文)
湯治につき音信として、紙子二ならび菓子一折到来し、祝著に候、近日帰城すべきのあいだ、かたがた期面の節候、恐々謹言
(大意)
湯治のご挨拶代わりに紙子ふたつと菓子一折が届き、実にうれしく思っております。近々大坂へ帰りますので、いずれお目にかかった時に、でもと思います。謹んで申し述べました。
*音信:音信物(いんしんもの)の略で、人を訪ねる際に持参する手土産から賄賂まで幅広い意味がある。
*紙子:紙衣・紙袍とも書く。紙で作られた衣で、「粗末な衣服、落ちぶれた姿」という意味もある。
*著:「着」は「著」の俗字と「字通」にある。「著」=「着」と理解してよい。(e.g.「著到」)