日本中近世史史料講読で可をとろう

ただし、当ブログは高等教育課程における日本史史料講読の単位修得を保証するものではありません

日本中近世史料を中心に濫読・少読・粗読し、各史料にはできるだけ古文書学に倣い表題をつけ
史料講読で「可」を目指す初学者レベルの歴史学徒として史料を読んでいきます

天正13年9月14日 本願寺顕如、秀吉有馬湯治につき手土産を贈り、秀吉、顕如に礼を述べる

 

 

 

就湯治為音信、紙子二并菓子一折到来、祝著候、近日可帰城之間、旁期面之節候、恐々謹言、
  (天正十三年)
    九月十八日                   秀吉(朱印)
    本願寺殿

(書き下し文)

湯治につき音信として、紙子二ならび菓子一折到来し、祝著に候、近日帰城すべきのあいだ、かたがた期面の節候、恐々謹言

(大意)

湯治のご挨拶代わりに紙子ふたつと菓子一折が届き、実にうれしく思っております。近々大坂へ帰りますので、いずれお目にかかった時に、でもと思います。謹んで申し述べました。

 

 


*音信:音信物(いんしんもの)の略で、人を訪ねる際に持参する手土産から賄賂まで幅広い意味がある。


*紙子:紙衣・紙袍とも書く。紙で作られた衣で、「粗末な衣服、落ちぶれた姿」という意味もある。

 

*著:「着」は「著」の俗字と「字通」にある。「著」=「着」と理解してよい。(e.g.「著到」)