日本中近世史史料講読で可をとろう

ただし、当ブログは高等教育課程における日本史史料講読の単位修得を保証するものではありません

日本中近世史料を中心に濫読・少読・粗読し、各史料にはできるだけ古文書学に倣い表題をつけ
史料講読で「可」を目指す初学者レベルの歴史学徒として史料を読んでいきます

「可被申候」 なぜ連体形を使うの?  「べし」というべきでは? 「するべき」ではなく「す(る)べし」では?

ある番組を見ていたら「べき」「べき」と連発していた。べき乗の話かと思ったら、「べし」の連体形である「べき」だった。

 

 

 活用を確認しよう

  

未然     連用  終止  連体  仮定(已然)  命令

べから(ず) べく  べし  べき   べけれ    なし

 

 

活用のある日本語では基本形、原形を終止形で表すのが普通だと思う。ただ、近年動詞や形容詞を修飾する言葉が副詞から形容詞に変化しつつある(e.g.「すごくきれい」→「すごいきれい」)。連体形が現在では活用語の基本になっているのかも知れない。

 

以前「~すべきか~しないべきか」というセリフをCMで聞いたことがあるが正しくは「~すべきか~すべきでないか」である。すべきでないことを「べからず」というが、NGワードという言葉が広まると同時に廃れたようだ。

 

 

ただし、山田邦明氏は「可被申候」を「申さるべく候」と普通は読むが、戦国期は「申されべく候」と読むことが多かったと指摘されている(山田『戦国のコミュニケーション』97頁、2002年、吉川弘文館)。