日本中近世史史料講読で可をとろう

ただし、当ブログは高等教育課程における日本史史料講読の単位修得を保証するものではありません

日本中近世史料を中心に濫読・少読・粗読し、各史料にはできるだけ古文書学に倣い表題をつけ
史料講読で「可」を目指す初学者レベルの歴史学徒として史料を読んでいきます

ファミリーヒストリー 壇蜜家文書を読む

古文書という副題に興味をそそられ、ここで読んでみることにした。番組のナレーションは聴いていないので、詳しいことはそちらに任せるとして翻刻だけ試みたい。

 

 FIG.1

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於江戸表御軍用

御備被成下度

御紋付羽二重此原

御幕令献上、御時節柄

御用相立、彼是源切

奇特成事

(次へ続く)

 

 

FIG.2

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思召候、依之為御賞

其身一生中御小性組

被成下之旨、被

仰出候事、 

 

(書き下し文)

江戸表においてご軍用お備え成し下されたく御紋付・羽二重・此原御幕献上せしめ、御時節柄御用にあいたち、かれこれ源切奇特なることに思し召され候、これにより御賞として、その身一生中御小性組に成し下さるの旨、仰せ出され候こと、 

 

 

*此原:人名らしいが不明。此原幕という商品名か。

 

源切:仏教語大辞典に「げんせつ」=懸説として「遥か先をあらかじめ見越して説くこと」とある。つづく奇特とセットで「将来を見通す、神仏のようにすぐれたさま」という意味と思われる。

 

 

画像1の2行目で改行している。平出になっていることから、主人が着るであろう「御紋付」への敬意を示しているものと思われる。同様に画像1最終行から画像2の第1行にかけて「思し召され」、画像2の終わり2行に「仰せ出され候」と平出が見られる。