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続いて第5条を読んでいく。
一、くろかねの事、是又見斗、年貢つもりニ成共、米つもりニ成共、可仕候、公方へ上り物ニ候間、但ほり申をも迷惑不仕様ニ念を入、つもり可申付事、
(書き下し文)
ひとつ、くろがねの事、これまた見計らい、年貢つもりになるとも、米つもりになるとも、仕るべく候、公方へ上り物に候あいだ、ただ掘り申すをも迷惑仕らざる様に念を入れ、つもり申し付くべきこと、
*くろかね:くろがね、つまり鉄のこと。「こがね」が金、「しろがね」が銀、「あかがね」が銅。
*見斗:「ミハカライ」と読む。『日本国語大辞典』では「計」(ハカリ)から転じたものとしているが、本来「斗」と「計」は別の文字だがくずすとよく似ているため混用されたと考える人もいる。
東大史料編纂所『電子くずし字字典データベース』でくらべてみる。
「計」のくずし字
「斗」のくずし字
東大史料編纂所のデータベースはこちら。
「計」の言偏部分を極端にくずすと、「斗」の点ふたつと区別がつきにくくなる。「一石弐斗」などの場合はそのまま「斗」と、「見斗」などのときは「計」と区別して翻刻する場合もある。
*つもり:見積もり
(大意)
ひとつ、鉄の事、これもまた見積もった上で、年貢として見積もるとも、米で見積もるとしても、正確を期すようにしなさい。秀吉様へお納めするものであるから、単に掘って(公方へ)迷惑をかけないように念を入れ、見積もりを命じなさい。
砂鉄が取れる場所での規定であるが、「年貢つもりになるとも、米つもりになるとも」の部分がやや不明瞭である。ここでは年貢として砂鉄で納めるか、その代替物として米で納めるかという意味で解釈した。そしてやはりそれは「公方」つまり秀吉へ納めるものであった。ここでも闇雲に採掘せず、限度をわきまえるようにと注意している。