(封筒オモテ)
「大森区山王一ノ二,八三九
徳富猪一郎*1様 」
(封筒ウラ)
「豊島区高田本町
?ノ一,五二〇
金栗四三」
(前半部分見えず)
誠に御無理なる御願ひには
候へ共五月三十一日三等堂*2*3に於て
先生*4の御講話要旨簡単
御記しの上御送附賜り候はゞ
幸甚此上無之右実然*5にて恐縮
ながら何分宜敷御配慮賜り
此段御願申上候 敬具
昭和十七年七月五日
金栗 四三(書き下し文)
まことにご無理なるお願いには候えども、五月三十一日三等堂において先生のご講話要旨、簡単お記しのうえ、ご送附たまわりそうらわば、幸甚この上これなく、みぎ実然にて、恐縮ながら何分よろしくご配慮たまわり、この段お願い申し上げ候、敬具、
(大意)
まことにご無理なお願いではございますが、5月31日三等堂での先生の講話の要旨を簡単におまとめの上、お送り下されば、このうえなくさいわいです。以上いつわりのないことで、恐縮ですが何分よろしく御配慮下さいますよう、この段お願い申し上げます。敬具。
手紙の書き方として「敬具」なら「時節柄・・・」のような文言を要するが、慌てていたのだろうか。きれいな文字に比して失礼な文面の対照がとても印象的である。