日本中近世史史料講読で可をとろう

ただし、当ブログは高等教育課程における日本史史料講読の単位修得を保証するものではありません

日本中近世史料を中心に濫読・少読・粗読し、各史料にはできるだけ古文書学に倣い表題をつけ
史料講読で「可」を目指す初学者レベルの歴史学徒として史料を読んでいきます

新発見の顕如書状2通を読む??? 「天下静謐この時に候」

www3.nhk.or.jp

 Fig.1 2通の文書

f:id:x4090x:20181227181936p:plain

 

Fig.2 上の文書

f:id:x4090x:20181227182031p:plain

 

近日至大坂被寄
駕籠之候珎重存候
仍左少之式*1雖憚多候
越布卅端進入之候
真向之儀迄候猶下間刑部卿
法眼*2可得貴意候恐〻
謹言
  五月廿八日*3
      (差出人欠)
  羽柴筑前守殿

 

(書き下し文)

近日大坂にいたり、駕籠これを寄せられ候、珎重に存じ候、よって左少之式はばかり多く候といえども、越布三十端これを進入し候、真向の儀まで候、なお下間刑部卿法眼貴意を得べく候、恐〻謹言、

 

  Fig.3 下の文書

f:id:x4090x:20181227182109p:plain

 

御昇進之儀千秌*4
万歳尤珎重存候
弥天下静謐此時候
仍太刀一腰馬一疋遣
献之候表嘉儀計候
猶下間刑部卿法眼可申入候
恐惶謹言
  十月七日*5  (差出人欠)

   (充所欠)
    人〻御中

 

(書き下し文)

御昇進の儀千秋万歳、もっとも珎重に存じ候、いよいよ天下静謐この時に候、よって太刀一腰、馬一疋これを遣献し候、嘉儀をあらわすばかりに候、なお下間刑部卿法眼申し入るべく候、恐惶謹言、

 

「左少之式」が誰を指すのかわからないところがもどかしい。

*1:近衛少将式部カ下間仲之カ

*2:下間頼廉

*3:天正十一年

*4:秋の異体字

*5:天正十二年