また文書の新発見があった。
今回は文書の伝来と形態について述べてみたい。
古代・中世の文書は掛け軸などに表装されていることが多く、必ずしも原形を現在に伝えているとはいえない。骨董市場に出回る物も多くが表装されており、なかには天地をそろえるために、折紙を折り目に沿って一度裁断した上で折紙風に表装しているケースもある。
その場合、当然包紙などは行方がわからなくなる。しかし今回の発見は原形を留めている点でも貴重である。
Fig.1
右上に包紙が見える。また、勝家の書状が切封だったことも伝えている。
Fig.2
Fig.3
Fig.2、3の右端に見える紐は、下から切り裂いてつくっている。
追記
この紐に墨が見えるのは、封をしたあとに宛先を書くためである。と言葉で説明してもわからないので、実際に作成された方のブログを紹介する。実にわかりやすく説明されている。
昔の手紙の封のしかた:きりふうすみびき。 – balicpapan
切封は次のように作成する。
Fig.4
「国史大辞典」
ちなみに冒頭にはこうある。
天下様子無是非次第
絶言語計候
(書き下し文)
天下の様子、是非なき次第、言語に絶するばかりに候、
(大意)
天下の状況はどうしようもなく、筆舌に尽くしがたいほどです。