前回に続いて嶋清興書状を読んでみる。
(折封ウハ書)
(折紙)
(折封ウハ書)
「東中*1様 御陣所 嶋左
清興」
尚々不及申候へ共
いつれのことも無御
失念様専一候以上□(一カ)今日者不申承候仍
上様*2明日御成と申候
但気合*3外悪候間
今日迄不罷出候条慥
之儀ハ不存候
一、指出*4悉出来候て候や
被遣候*5哉無御油断御
かせき*6候て可然候
□(一カ)御兵糧米何ほとか
相済候哉是又迚之儀ニ
切々御催促*7不被請
様尤候若請取様なと
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[ ]候を
可出候念を入候て可進之候
一、是御陣替も可為進之候
諸事御由段有間敷候
此表ニ被残置仁躰誰
ヲのこし候哉少々不入御
人数なとハ御国本迄
先へ被遣候て可然候哉
惣別奥口之儀ハ御勝
手たり候間人質之
しゆり*8城ニ被請取候
御才覚なとも御一人と
御かせき尤候是左様ニ
可参も(闕字)内府様*9に
ありきもを御とり給シ
御心も付申間貴殿と推
量候様躰ニより今晩以
委細可申候恐々謹言
七月廿五日 清興(花押)
(書き下し文)
ひとつ、今日は申し承らず候、よって上様明日御成と申し候、ただし気合ほか悪しく候あいだ、今日まで罷り出でず候条、たしかの儀は存ぜず候、
ひとつ、指出ことごとく出来候て候や、遣わされ候や、御油断なく御かせき候てしかるべく候、
ひとつ、御兵糧米何ほどかあい済み候哉、これまたとてもの儀に、切々御催促請けられざるよう様もっともに候、もし請け取るようなど[ ]候を出すべく候、念を入れ候てこれを進らすべく候、
ひとつ、この御陣替もこれを進めさすべく候、諸事ご油断あるまじく候、この表に残し置からる仁躰、誰を残し候や、少々入らざる御人数などは、御国本まで先へ遣わされ候て然るべく候や、惣別奥口の儀は御勝手たり候あいだ、人質の修理、城に請け取られ候御才覚なども、御一人と御かせきもっともに候、これ左様に参るべくも内府様に歩きもを御とりたまいし、御心も付け申す旨、貴殿と推量候様躰に候あいだ、今晩委細もって申すべく候、恐々謹言、
なおなお申すにおよばずそうらえども、いづれのこと
も御失念なきよう専一に候、以上、
(大意)
ひとつ、今日は承っておりませんが、上様は明日御成りです。ただ健康状態が思いのほか悪いので、今日までお伺いできなかった件、確実なことは申上げられません。
ひとつ、指出はことごとく済ませましたでしょうか、それとも検地役人を遣わされましたでしょうか、いずれにしてもご油断なくお働きになることが、ようございましょう。
ひとつ、御兵糧米の確保はどのくらいお済みでしょうか、これまた重要なことですので、たびたび上様の御催促を請けられぬようにしてください。もし催促を請け取るようなことでもあれば[ ]を出してください。入念に行ってください。
(以下「その2」へ)