日本中近世史史料講読で可をとろう

ただし、当ブログは高等教育課程における日本史史料講読の単位修得を保証するものではありません

日本中近世史料を中心に濫読・少読・粗読し、各史料にはできるだけ古文書学に倣い表題をつけ
史料講読で「可」を目指す初学者レベルの歴史学徒として史料を読んでいきます

「人国記」より「備後国国民性」を読む

 

あるCMが頭から離れない。広島県東部にあたる国名を連呼するあれだ。その地域の方も使うのだろうか。駅名は落合、庄原、西条、赤坂など多数あるので混同しないのだろうか。疑問は尽きない。

 

備後の国の風俗は、人の気実儀*1にして、一度約をしたる事は変改すること鮮(すくな)し。然れども愚癡*2なること多き故、不実なる事をも弁(わきま)へずして請け合ひ、終に悪名*3を取ること多かるべきなり。大体は西備中の風俗なり。武士の風儀もかくの如し。

        浅野建二校訂『人国記・新人国記』岩波文庫、75~76頁

 

備後の住民は誠意のある人が多く、一度約束したらそれを違えることは少ないと持ち上げる一方で、愚かで実現できるかどうかあやしいことも安請け合いをし、結局評判を悪くする、と述べている。

 

毀誉褒貶は時代を問わないということなのだろう。

*1:まごころや誠意のあること

*2:ぐち、愚かで物の理非のわからないこと

*3:悪い評判