「一所懸命」とは文字通り「一所」=土地を守るために、命を懸けることを意味する。
主君から土地を与えられることを「御恩」といい、それに対して主君の命にしたがうことを「奉公」という。この双務的関係を西洋史にならって「封建制」という。これは郡県制の対義語としての「封建制」と似ているので厄介である。
しかのみならず、「古臭い」「家父長的な」「時代錯誤の」現象を「封建的」と呼んでいた時期もあった。いまなら「昭和的」と形容するだろうか。
さて、御恩と奉公で想起するのは「いざ鎌倉」だろう。主君の一大事に鎌倉に馳せ参じるわけであるが、近世でこれに相当するのが参勤交代である。参勤交代は「奉公」なのだ。