日本中近世史史料講読で可をとろう

ただし、当ブログは高等教育課程における日本史史料講読の単位修得を保証するものではありません

日本中近世史料を中心に濫読・少読・粗読し、各史料にはできるだけ古文書学に倣い表題をつけ
史料講読で「可」を目指す初学者レベルの歴史学徒として史料を読んでいきます

文禄5年3月1日石田三成十三ヶ条村掟を読む その6

 

 

一、来秋より、只今遣す我等判*1の升にて取やり*2仕、ふる升もちゆへからす、先年けんち衆いだされ候升ニふときほそき*3ある間、とりあつめ、そのなかにて中をとり、ため*4あわせ*5つかハし*6候事、

 

 

 

(書き下し文)

ひとつ、来秋より、ただいま遣わす、われら判の升にて取り遣りつかまつり、古升用ゆべからず、先年検地衆出だされ候升に、太き細きあるあいだ、取り集め、その中にて中を取り、矯め合わせ遣わし候こと、

 

 

(大意)

ひとつ、来年の秋から、このたび渡す三成の花押がある升で計量し、旧来の升で取引することはならない。以前検地役人が渡した升に、大小のばらつきがあったので、それらを集め、中間の大きさの升を採用し、正確を期した上で升を渡させることとする。

 

 

 

 

長浜城歴史博物館石田三成』(1999年)84頁によれば、近世湖北地方では京枡より80~85%小さい升が年貢上納用以外に使用されており、「八合升」「浅井升」と呼ばれていたという。八合升は伝わっているものの、石田三成の花押が据えてある升は見つかっていないようだ。

 

 

*1:花押

*2:取り遣り:授受すること

*3:太き細き

*4:矯め:矯正する

*5:合わせる:うまく一致させる

*6:遣わし