一、地下ありきにいたツて*1、代官下代*2やとい申事あらバ、そのさい所*3里どなり*4なと*5へは*6、やとハれ可申候、それも作*7にさしあひ*8いらさる儀ニめしつかい*9候ハヽ、いたし*10申ましき事、
(書き下し文)
ひとつ、地下歩きに至って、代官・下代雇い申す事あらば、その在所・里隣なとへは雇われ申すべく候、それも作に差し合い、要らざる儀に召し使いそうらわば、出し申すまじきこと、
(大意)
ひとつ、歩き役について、代官や下代が雇うことがあれば、その村や隣村あたりまでの歩き役として雇われなさい。その場合、耕作に差し障りがあり、不要の用件で使役するようであるなら、人を出してはならない。
三成の被官である代官や陪臣にあたる下代などが、歩き役人足として徴発する際の量的、地域的制限をかけた規定である。耕作に支障が出るようなら徴発には応じるな、ということである。
それだけ被官らによる「私的な」労役が横行していたのであろう。
年貢納入が滞るような使役をすれば本末転倒である、ということなのだろう。