日本中近世史史料講読で可をとろう

ただし、当ブログは高等教育課程における日本史史料講読の単位修得を保証するものではありません

日本中近世史料を中心に濫読・少読・粗読し、各史料にはできるだけ古文書学に倣い表題をつけ
史料講読で「可」を目指す初学者レベルの歴史学徒として史料を読んでいきます

中近世移行期における「笑止」の意味

 

「古文書フルテキストデータベース」で「笑止」を検索した結果がこちら。

 

docs.google.com

 

そのなかから意味がわかりやすい寛永15年の事例を挙げる。

 

 

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表62、63の「細川家文書」

 

1月27日川越で火事があったようで松平には「苦々しき儀」つまり「残念なこと」と、堀には「堀田殿にはさぞお困りで「笑止」に思います」と書き送っている。「日葡辞書」には「痛ましい」とあり、堀田に対して「痛ましいことに思います」と見舞う意味ととれる。

 

つまり「笑止」は「苦々しい」とほぼ同じ意味であることがわかる。

 

ただ言葉の意味は文脈に大きく依存するので、ひとつの意味に限定する必要は無論ない。