日本中近世史史料講読で可をとろう

ただし、当ブログは高等教育課程における日本史史料講読の単位修得を保証するものではありません

日本中近世史料を中心に濫読・少読・粗読し、各史料にはできるだけ古文書学に倣い表題をつけ
史料講読で「可」を目指す初学者レベルの歴史学徒として史料を読んでいきます

映画「天使と悪魔」の主人公に関する疑問

 

前回の記事に便乗して「天使と悪魔」に登場する図像学者、古文献学者への違和感を記しておく。

 

謎の古文献を探しに「バチカン図書館」(正確には文書館/史料館)に入った主人公とCERNの研究者はこういった会話をする。

 

「まいったな、ラテン語は読めないんだよ」

「大丈夫、わたし読めるから」

 

ラテン語は中世ヨーロッパの国際的公用語であるので必須の要件である。にもかかわらず、臆面もなく公言してはばからない。主人公が馬脚を現した瞬間だった。図像は読めるが、文字は読めないと白状したに等しい。つまり、史料全体を読んでいるのではなく、図像だけをつまみ食いしている、そういうことになる。

 

他山の石としたい。