前回の記事に便乗して「天使と悪魔」に登場する図像学者、古文献学者への違和感を記しておく。
謎の古文献を探しに「バチカン図書館」(正確には文書館/史料館)に入った主人公とCERNの研究者はこういった会話をする。
「まいったな、ラテン語は読めないんだよ」
「大丈夫、わたし読めるから」
ラテン語は中世ヨーロッパの国際的公用語であるので必須の要件である。にもかかわらず、臆面もなく公言してはばからない。主人公が馬脚を現した瞬間だった。図像は読めるが、文字は読めないと白状したに等しい。つまり、史料全体を読んでいるのではなく、図像だけをつまみ食いしている、そういうことになる。
他山の石としたい。