日本中近世史史料講読で可をとろう

ただし、当ブログは高等教育課程における日本史史料講読の単位修得を保証するものではありません

日本中近世史料を中心に濫読・少読・粗読し、各史料にはできるだけ古文書学に倣い表題をつけ
史料講読で「可」を目指す初学者レベルの歴史学徒として史料を読んでいきます

「開運!なんでもお宝鑑定団」2018年4月1日再放送で紹介された年未詳11月5日上野信孝宛毛利元就毛利隆元連署披露状を読む

 

番組で上記の文書が出品されたので読んでみる。

 

増田孝氏(日本古文書学)が「平出」を丁寧に解説されたのだが、画面を見ると「進上」が一字分、上に突き出ている「擡頭」の形式をとっているのではと感じたので、それも含めて読んでみる。

 

 

 就富永山城守儀

 御内書謹而致頂戴候任

 上意令入魂候此等之旨

 可預御披露候恐惶謹言

  十一月五日      大膳大夫隆元(花押)

             陸奥守元就(花押)

進上 上野民部太輔殿

 

 

(書き下し文)

 

富永山城守の儀について、御内書謹しんで頂戴いたし候、上意にまかせ入魂せしめ候、これらの旨御披露にあずかるべく候、恐惶謹言、

 

 

*披露状:「書札礼(しよさつれい)における書状の一様式。身分のへだたる将軍など貴人に対し,あるいは大名など一国内の絶対者に対し,敬意を表すために書状を直接本人の名あてにせず,その人に近侍する奉行人,用人などにあて,書状の本文内容を取り次ぎ披露することを依頼する形式」(平凡社世界大百科事典)

 

*富永山城守:富永元安。「大日本史料」天正2年閏11月20日の条「湯原系図」に「湯原元綱母富永山城守元安娘」とある。

 

*御内書:足利将軍家が発給する私的な書状形式をとった公文書

 

*大膳大夫隆元:毛利隆元

 

陸奥守元就:毛利元就

 

*上野民部太輔:上野信孝、室町幕府の奉公衆、備中国鬼邑山城主 上野信孝 - Wikipedia

 

 

 

 東大史料編纂所のデータベースで作成した毛利隆元文書の即席目録はこちら。

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