明後日廿六、宇津表及行付、至桐野河内着陣候、然者各有其御心得、鋤鍬其外普請道具有用意、至彼表可有着候、人数之事、不寄土民・侍男之類、可被召具候、杣在次第、まさかりを持可被相連候、若雨降候者可為廿七日候、少降候義者不苦候、聊不可有油断候、於様体者以面可申談候、恐々謹言、
(天正七年) 惟任日向守
七月廿四日 光秀(花押)
小畠左馬進殿
御宿所
『新修亀岡市史資料編第二巻』35頁
(書き下し文)
明後日廿六、宇津表行(てだて)に及ぶにつき、桐野河内にいたり着陣候、しからばおのおのその御心得あり、鋤鍬そのほか普請道具用意あり、かの表にいたり着あるべく候、人数の事、土民・侍、男の類によらず、召しそなえらるべく候、杣あり次第、まさかりを持ちあい連れらるべく候、もし雨降り候わば廿七日たるべく候、少し降り候義は苦しからず候、いささかも油断あるべからず候、様体においては面をもって申し談ずべく候、恐々謹言、
「国史大辞典」より作成
*土民・侍男の類によらず:亀岡市史ではこのように中黒点を入れているが本ブログでは「土民・侍、男の類によらず」と読んでみる。
*杣:杣人のこと。木を伐り出すことを生業とする者。
*苦しからず候:さしつかえない、都合は悪くない。
つまり「小雨決行」という意。
(大意)
明後日二十六日に宇津城方が策略を行おうとしているので、桐野河内に着陣しました。おのおの注意し、鋤鍬そのほか用意した普請道具を宇津城へ持ってきてください。動員の件は、土民・侍の身分に関わらず、男は誰であっても、連れて来るようにしてください。杣人がいたならば、まさかりを持参させてください。もし雨が降った場合は二十七日に延引すること。少しの雨なら二十六日に着陣するようにしてください。少しも怠りなく、状況によっては直接会って話し合いましょう。