日本中近世史史料講読で可をとろう

ただし、当ブログは高等教育課程における日本史史料講読の単位修得を保証するものではありません

日本中近世史料を中心に濫読・少読・粗読し、各史料にはできるだけ古文書学に倣い表題をつけ
史料講読で「可」を目指す初学者レベルの歴史学徒として史料を読んでいきます

有馬温泉と秀吉 その1 ブラタモリ #97 有馬温泉

温泉番付の一部を掲出する。

   

     大関    関脇       小結

東  上州草津湯 下野之那須    秋田小鹿嶋湯

西  摂津有馬湯 但馬城之崎ノ湯  予州道後湯

 

 

 

 

秀吉と有馬温泉の関係を示す史料は、「大日本史料総合データベース」で14件、「古文書フルテキストデータベース」で1件ヒットする。また「日本古文書ユニオンカタログ」でもいくつかヒットする。

 

 

その中でもっとも古いものが以下の史料である。

 

207.有馬郡之内道場河原百姓中町人宛判物

 


    諸役令免許候、以上
当所地下人并町人等、如前々可還住、若非分族在之者可加成敗者也、
  天正七年        藤吉郎
     十一月廿六日     秀吉(花押)
     有馬郡之内道場河原
          百姓中
               町人

 

                 (豊臣秀吉文書集 一 68頁)

 

(書き下し文)

当所地下人ならびに町人など、前々のごとく還住すべし、もし非分のやからこれあらば、成敗を加うべきものなり、諸役免許せしめ候、以上

 

(大意)

 

有馬郡道場河原の者どもが逃散しているが、従来どおり安全を保証するから帰ってきてここに住みなさい。もし、代官や地頭が理不尽な対応をしたならば、必ず成敗する。公事や夫役などの課役は免除する。以上。

 

 ちなみに、番組に出演された松田法子氏の業績はこちら。ただし「建築雑誌」所収の論文は1部1080円で有料となっている。

https://ci.nii.ac.jp/nrid/9000006017784