明治6年2月、紆余曲折を経て愛媛県が誕生した。そのわずか3年後の明治9年8月香川県を合併し、巨大愛媛県が成立した。
上は現在の愛媛県と香川県であるが、明治6(1873)年から同21(1888)年12月まではこの両県を併せて「愛媛県」と称した。面積は6066キロ平方メートルにおよび、現在の三重県より広く、茨城県よりせまい計算になる。
この頃の書状の宛名には「愛媛県伊予国○○郡…」「愛媛県讃岐国△△郡…」と見える。
愛媛県は通常「東予、中予、南予」と地域区分されるように、県名の「愛媛」より「伊予」になじみがあるようだ。香川県は多くの他県と同様、郡名に由来するのに対して(律令制「香川郡」)、愛媛は地名でなく、神話から名付けられた歴史的にごく短い県名である。しかも、10年間も伊予国と讃岐国が住所表記に使われていた特別な事情がある。
ちなみに「愛」という字を「え」と読む事例は近江国(滋賀県)愛知郡(えちぐん)などがある。草書体は次の通りなので、好みは分かれる。
引用元:https://stat.ameba.jp/user_images/f8/40/10011470327_s.jpg