日本中近世史史料講読で可をとろう

ただし、当ブログは高等教育課程における日本史史料講読の単位修得を保証するものではありません

日本中近世史料を中心に濫読・少読・粗読し、各史料にはできるだけ古文書学に倣い表題をつけ
史料講読で「可」を目指す初学者レベルの歴史学徒として史料を読んでいきます

嘉永元年12月19日阿部正弘宛調所広郷血判状を読む 「西郷どん #3」

此度御家ヲ奉斯候上

清国ト密貿易仕候事

琉球派兵ノ一件軍

勢ノ数ヲ奉偽候事

全テ独断ニ而取行候ニ付

御詫申上候モ行届間

敷事ニ御座候故

以一死大罪ヲ奉謝候

十二月十九日

   調所笑左衛門広郷(血判)

阿部伊勢守正弘様

 

(書き下し文)

このたび御家をかかりたてまつり候うえ、清国と密貿易つかまつり候こと、また琉球派兵の一件、軍勢の数をいつわりたてまつり候こと、すべて独断にて取り行ない候につきおわび申し上げ候も行き届きまじきことにござ候ゆえ、一死をもって大罪を謝したてまつり候

 

 

*御家ヲ奉斯候上:島津家に対してこのような大事を起こしてしまったうえ

 

なお調所広郷について「維新史料綱要データベース」を選び、「調所広郷」で検索すると、さまざまな史料がヒットする。上記血判状は見つからなかった。

 

一言注文をつければ宛名は「阿部伊勢守」で止めておいた方がより本物に見えると思う。ただ視聴者に対して「正弘」まで入れる方がより親切なのだろう。再現性や時代性を重んじすぎると不親切だし、諱まで書くとなんだか胡散臭く見えるから不思議だ。

 

東京大学史料編纂所データベース選択画面 

【データベース選択画面】

 

http://wwwap.hi.u-tokyo.ac.jp/ships/shipscontroller

 

ちなみに、数万両レベルになると、千両箱十数箱に及ぶらしい。

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