今から80年前の1937年、桑原三郎氏の論文が『社会経済史学』にておおやけにされた。
桑原氏は検地や京都地子免許などのちに豊臣、徳川政権に継承された政策の嚆矢を光秀の政策に求めている。また荻生徂徠によって光秀の人物像が歪められたとの指摘も興味深いし、なにより「本能寺の変」などのような固有の事件名を使っていない点が新鮮である。
社会経済史学は学術誌であるから、当然ながら史料を引用した実証論文である。したがって氏の解釈が正確かどうか検証できるところもありがたい。
CiNiiから無料でダウンロードできるので、リンク先からぜひお読みいただければと思う。
なにしろ、盧溝橋事件の起きた年に公表された論文である。問題点も多いが、明智光秀を語る上では外せない、必読論文であることは論を俟たない。