日本中近世史史料講読で可をとろう

ただし、当ブログは高等教育課程における日本史史料講読の単位修得を保証するものではありません

日本中近世史料を中心に濫読・少読・粗読し、各史料にはできるだけ古文書学に倣い表題をつけ
史料講読で「可」を目指す初学者レベルの歴史学徒として史料を読んでいきます

明智光秀必読論文!!! 桑原 三郎, 明智光秀の民政, 社会経済史学, 7 巻 (1937) 11 号

今から80年前の1937年、桑原三郎氏の論文が『社会経済史学』にておおやけにされた。

 

明智光秀の民政

 

桑原氏は検地や京都地子免許などのちに豊臣、徳川政権に継承された政策の嚆矢を光秀の政策に求めている。また荻生徂徠によって光秀の人物像が歪められたとの指摘も興味深いし、なにより「本能寺の変」などのような固有の事件名を使っていない点が新鮮である。

 

社会経済史学は学術誌であるから、当然ながら史料を引用した実証論文である。したがって氏の解釈が正確かどうか検証できるところもありがたい。

 

CiNiiから無料でダウンロードできるので、リンク先からぜひお読みいただければと思う。

 

なにしろ、盧溝橋事件の起きた年に公表された論文である。問題点も多いが、明智光秀を語る上では外せない、必読論文であることは論を俟たない。