日本中世史のM先生が出された著書の売れ行きが好調だという。
先生の講義を受けたことはないが、ある調査合宿でお話をうかがう機会にめぐまれた。
その調査ののちの年末、反省会という名の飲み会が開かれ、スライドを見ていたとき突然先生が「あの子、バックシャンだね」と御自身の教え子を指してそう言われた。
「back schön」なる言葉を初めてそのとき知った。
日本史を勉強する者は、古文書調査、遺跡の発掘、金石文などの調査=フィールドワークに出ることがかなり多い。
拓本の取り方などもそこで修行する。「正長の土一揆」の碑文が真っ黒になっているが、あれは拓本をとろうとして、魚拓のように碑文に墨をつけたせいだと思うが、間違ったやり方だ。碑文をぬらし、そこに和紙を貼り付け、空気を抜いて密着させる。そして和紙の上から墨でたたくのだ。