日本中近世史史料講読で可をとろう

ただし、当ブログは高等教育課程における日本史史料講読の単位修得を保証するものではありません

日本中近世史料を中心に濫読・少読・粗読し、各史料にはできるだけ古文書学に倣い表題をつけ
史料講読で「可」を目指す初学者レベルの歴史学徒として史料を読んでいきます

江戸時代?桃山時代?慶長年間で解決!!

こういう西日本新聞の記事を目にした。

 

「これ『江戸時代』じゃなくて『桃山時代』じゃない?」「発表資料には『江戸時代』としているけど…」 - 西日本新聞

 

「某展覧会」とはおそらく九州国立博物館の「新・桃山展」と思われる。

この「同僚とのやりとり」の対象はおそらく84番の「黒織部沓形茶碗 銘 わらや」ではないだろうか。

出品目録はこちら

http://www.kyuhaku.jp/exhibition/img/s_49/exhibition_s49.pdf

古田織部を「桃山時代」の人物とする辞典類も多いからである。

 

それはともかく、記事の先を読むと1600年を境にするか1603年とするかが問題だったようだ。結局近世で落ち着いたそうだが、さらに読み進めると年号の話題に突如変わってしまう。

 

時代区分の話にしては短すぎたためだろうが、なんとも一貫性のない展開だ。最初は首都の所在地を、つづいて西暦での話に、最後に年号と時代区分の基準が変わってしまうからだ。

 

関ヶ原合戦は慶長5年の出来事であり、家康が征夷大将軍に任官されるのは慶長8年だ。つまり同じ慶長年間の出来事と考えれば、問題ない。