日本中近世史史料講読で可をとろう

ただし、当ブログは高等教育課程における日本史史料講読の単位修得を保証するものではありません

日本中近世史料を中心に濫読・少読・粗読し、各史料にはできるだけ古文書学に倣い表題をつけ
史料講読で「可」を目指す初学者レベルの古文書オタ、いえ歴史学徒として史料を読んでいきます

天正7年4月19日付築山殿宛武田勝頼書状を読む

「おんな城主直虎」に出てきた武田勝頼から築山殿に宛てた文書を読んでみよう。

 

(包紙ウハ書)

「築やま 殿                  かつ頼

  まゐる                       」

 

(中略)

いたすへく候、宜しくなか・・・

されへく候、かへす(くの字点)御物入・・・

候あひた、御ひ見のうへ干火中・・・

入れへく候、穴賢(くの字点

  四月十九日     かつ頼(花押)

 築やま殿

    まゐる

(書き下し文)

いたすべく候、よろしくなか・・・

されべく候、かえすがえす御物入り・・・

候あいだ、御披見の上火中に・・・

入れべく候、あなかしこ、あなかしこ

 

 

*まゐる:相手への敬意を表す脇付で決まり文句。

 

*穴賢:男性が使う「恐惶謹言」、「恐々謹言」に対して、多くは女性が使う書き止め文言。現代でも女性のみが使用する「かしこ」として伝わっている。

 

*(花押):花押は書き判とも呼ばれるように自署が原則であるが、近世に入ると擦ったものを据えるようになる。画面からはどうも後者のように見えてしょうがない。

 

 

「御ひ見のうへ干火中」の部分はジェームスボンドのテープを思い出してしまう。ところで「四月」というのは少々意外だった。個人の経験則では4月は「卯月」とするものが多いからだ。あとずっと割合が下がって11月の「霜月」、12月の「極月」はたまに見るくらいだが卯月は多いと思う。